廃校舎を全裸で散策することが趣味となった少女は
埃が積もる廊下を四つん這いで歩いたり、残された備品を挿入したり
と時の止まった廃墟と一体化になれる瞬間を至福として酔いしれていた
ふと何時もと違うコースでトイレへと入り込むと
窓から柔らかい光が差し込んで室内をやさしく照らしていた
彼女は裸足のままトイレ内部のタイル床を歩く
トイレも彼女が愛する時の止まった存在の一部であるから汚いという発想は浮かばなかった
何か感じるとしても冷たいタイルが心地いいなくらいだろう。
ふと掃除用具入れに収納されていたトイレブラシに目が行った

これでこの愛しい建物のトイレを掃除していたのだろう
カピカピに汚れがこびりついたブラシの柄を持ち眺めていると
手元がくるって顔面に擦りつけてしまった 
流石にスポンジ部分をには抵抗があったのだろう
だが、こうなってしまってはと腹を括る、私はこれも愛さねばならないのだ
スポンジの部分を手でわしわしと揉んでみるとパラパラと乾いた汚れがおちていった


これを受け入れたらもっと一緒に慣れるかな?
そう思いトイレブラシを口に含んでみると 乾燥した何とも言えない風味が口の中に広がった
味わうように時間をかけて口に含んでいると唾液でぐじゅぐじゅになった
スポンジから汚れた唾液がしたたり落ちてきた



グジュグジュに濡れた穴へとブラシを押しあてる、
今までさんざん色んなモノを受け入れ緩くなっていた穴は たやすくブラシを呑み込むことが出来た
トイレブラシを咥え込んだ私はいわばここの備品の一つになったんだという
幸福感につつまれた
では次にやる事はなんだろう?と考えたが 結果は一つだ
備品の私はトイレを掃除しなくてはならない。
ドアを開けると長らくつかわれていない薄汚れた和式便座があった
私はそれに四つん這いで覆いかぶさると舌で舐めて掃除を始めた
便器の下には黒い闇の空間が広がり 微かに見えたのは
この廃墟が現役だった時につまさった便の山だろうか

外側も届く範囲での内側もくまなく綺麗に舐めおわり、
ふうと一息をついたのが不味かったのか
下の穴に咥えこんでいたトイレブラシがポロリと滑り
闇の世界へと落ちてしまった

私は焦った、大事な備品様を回収不能な所へ落としてしまうなどと
ここを愛するものとしては到底許されない失敗である
回収せねば!とトイレのそばの窓から外へ出る事にした。夏の日があたりを明るく照らし廃墟の周りは緑に覆われていた
草を掻き分け便槽前に辿り着くと手製なのだろうか簡易な蓋がかけられており 重しのブロックをよけると
簡単に開くことが出来た、中を覗くと黒黒とした排泄物が浅くたまっており
届きそうな距離に落としたトイレブラシが見えた 近くに転がっていた棒を手に持ち
なんとか手繰り寄せようと手を伸ばし体を穴へと近づけた

手が滑ったというべきだろうか、もう少しと身を乗り出し過ぎた私は
有ろうことか便槽へとダイブする事となってしまった
幸か不幸かたまった排泄物により怪我をすることはなかったのだが
便槽、糞の池へと落ちてしまったのである
悲鳴をあげるとかなんというか 逆に愉快な気分になってきた私は
滅多に、或いは普通は見ない空間を楽しむことにした
ここも愛する廃墟の一部なのだ
小さな部屋程の広さを持つ便槽だ長らく使われていたからか壁は茶色に変色し
沈殿した水分はどす黒く染まり水気があるので乾いていない便は泥ののようにヌチャリと滑る
よく見ると虫がウネウネと蠢いているのが見える

ボットン便所特有の大便の塔に突き刺さっていた便所ブラシを手に取る
ミッションは完了したのであるが…もう少しこの空間を楽しむことにした
大便の塔に持たれかかるとヌプヌプと音を立て体が沈み込む
どろどろの便を腹や股へ塗りたくりこのひと時を楽しんだ
一通り塗りたくった私は便槽の中でぼぅっとしている
大便にはうねうねと虫がうごめいているが汚水のなかも
せわしなく生物たちが動いているのが見えた

便がぬっちょりと絡みついたトイレブラシを下の穴へと入れてみると
ヌプヌプとした音を立て入り込んだ
ああ私は何をしているのだろうか大切な世界の排泄物を
私なんかの穴へと押し込むなんて… いやこれでまた一つ
この世界と一体化できるのかな? ぐぽっぐぽっと大便や汚水を膣の中へ押し入れ
ブラシで押し込むとそのたびに私の中は幸せで満たされていった

下の穴にトイレブラシを差し込んだままプカプカと汚水のプールに浮かぶ
便槽の先住者たちが私をサワサワとまさぐり蠢いている ふと意識を上へとむけ便槽の四角い穴から外を眺めると青い空がみえた
何時もよりも遠い狭い空、しかし不安は感じなかった
この廃墟は私を優しく受け入れてくれているのだから